スペインでの就労
多くの方々が、スペインで働いてみたいと思っていらっしゃる事だと思います。確かに、スペインでの生活は、ライフスタイルはもとより、あらゆる角度から、本来、人間が生活を送るという事はどのような事を意味するのか、実際にあるべき姿はどのようなものなのかという点を、スペインの主要都市では実際に経験させてくれるでしょう。例えば、娯楽、シエスタ(午睡)、バルやパブなどでの知人友人達との社交の時間、海岸、フラメンコ、闘牛、数多くの歴史的建造物や遺跡など、スペインでの生活背景にある魅力は尽きることはありません。
実際にスペインに居住し仕事に就き日々の生活を送るというのは、長期の休暇や、留学、または旅行などで滞在した際に体験する時間や空間とは大きく異なり、日常生活の困難や仕事上の悩み等、様々な挑戦が必要になる事は確実です。
確かに、スペインでの生活習慣に見られる娯楽、リラックスした環境を垣間見られるシエスタなど楽しい面も多いでしょう。しかし、その一方で、厳しい労働に対する低賃金という現実もあるのです。更には、現在の経済危機によりヨーロッパ全体で就労の困難が見られ、スペインも例外ではありません。
就労環境
スペインに滞在の経験がおありの方はお気付きになったかも知れませんが、街の至るところで男性女性に関わらず立ち話をしている姿や、カフェテリアに集まり会話を楽しんでいる姿をよく見かけたのでは無いかと思います。
会話によるコミュニケーションは大変重要で、職場での円滑な業務を行なう為にも必要不可欠です。話題の内容は、仕事に関することは勿論、政治やサッカーなど多岐に渡ります。午前2時頃にマドリッドのダウンタウンで見られるような光景が職場の中でも普通に目にする事ができるのがスペインの一般的な職場環境と言えるのではないかと思います。午前中のコーヒーブレイクなども含め、職場の同僚達と会話を交わす事自体も仕事の一部なのだと考えても過言ではないでしょう。実際に、コーヒーメーカーのある場所がオフィス内で最も従業員達を見かける場所だと言えるかも知れません。
先に述べている状況を活字で読む限りでは専門職、勤務中という意識の欠如とも思えるかも知れません。それでもやはりオフィス内で一番頻繁に多く職員達を見かけるのはコーヒーメーカーのある場所なのです。そこでは職員達は、サッカー、ショッピング、映画、誰が”OperacionTriunfo”を受賞したか、誰が「Gran Hermano」を去ったかなどを話しながら楽しそうな笑い声が聞こえて来ます。しかしそんな日常会話を交えながら、仕事上の重要な課題等についても対策を講じ、議論しているのです。
ここではあえて強調させて頂かなければならないのは、スペイン文化の中で生活し、円滑に日常の仕事をして行く為には、同僚をはじめとした職場に存在する各関係者との会話によるコミュニケーションはもとより、しっかりとコミュニケーションを取ることは最重要課題と言っても良いほど私達日本人が認識している以上に重要なことなのです。また同僚との親睦も深まり友達作りにも大いに役立っているようです。
一般的に、締め切りなどの期限を厳守することに於いては混沌としており、期日近くになり至急で仕上げることになる場合や期限間近又は期限以降に変更がなされたり、会議のキャンセルが当日約束の時間に行なわれたりする場合も少なくは無いようです。このような背景からも推測できる通り、突然の来客や緊急の対応を要する作業などが発生することもしばしばあるようです。少なくとも慣れている通常業務の仕事ばかりでは無いとも考えられますので職場で退屈をする事は余り無いでしょう。
残念ながら多くの国々ではスペイン人は「シエスタ」の習慣もあり、本来怠惰な国民性であると誤解されているケースも多いようなのですが、スペイン人も一生懸命働いている事には間違いありませんので誤解をなさらないで頂ければと思います。働くことに対するスタイルが私達日本人とは異なるという点があるとういう事なのです。
「シエスタ“La Siesta”」
シエスタの存在は伝説ではありません。実際にスペイン文化の中では存在しており、今もそのまま受け継がれている習慣です。小さな街のお店は大抵午後2時から午後5時まで一旦閉店し、従業員はシエスタの時間に入ります。自宅へ戻り昼食を摂って休憩する人が大半を占めているでしょう。マドリッドやバルセロナなどの大都市ではお店によってはこの習慣の通りお店を一旦閉める所もありますが、大半は一旦閉めることはせずに営業しています。シエスタの時間帯に一旦閉店する習慣は規則などで定められているものではありません。しかし、お店ではなく、オフィスなどでの仕事に就いている場合は、日本やその他の国々と大きな変化は無く、午前8または9時頃に出勤し、午後6時頃までが勤務時間とされている場合が殆どです。
休暇
スペインの法律に基づき、1年間に24日間の休日が定められています。一部の企業はそれら休日に基づき休日を定めています。例えば、火曜日が公的休日の場合、月曜日もその企業の休業日とします。木曜日が何らかの公的休日の場合には、金曜日が休業日とする企業も少なくありません。これらの企業の決定による通常の営業日を休業日とする場合には、政府の定める24日の休暇とは別の休日扱いになります。このような祝日などに付随して発生する休業日は貴方の休暇日がより一層充実したものになる可能性が高くなるでしょう。
給与について
さて、ここでは、完璧な世界を見つけるのはなかなか難しい、とでも言うところでしょうか。
スペインでの労働賃金は、日本と比較すると決して条件のよいものであるとは言えません。休日に重点を置き、国民の重要性も給与よりも休日に置かれているという文化背景があるのも主な原因でないかと思われます。但し、他のヨーロッパ各国と比較した場合にはやや低め、という程度に留まるのではないかと思われます。スペインの経済状況を見ると、スペインはヨーロッパの国々の中で、ギリシャ、ポルトガルに続いて3番目に平均労働賃金が低い国とされています。4年生の大学卒業、またはそれと同等の資格を持っていて、1年間の一般事務職の経験がある場合で、年俸にして約US$18,000〜21,000(額面)程度と見られています。それらの主な一般事務職の内容は、マーケティング、ファイナンス、経理などが挙げられます。諸税金を差引いて、手取りで見ると、大よそですが、US$15,000〜17,500程度のようです。
人生には譲歩、歩み寄りも必要という事でしょう。以上に述べた諸々の目安は、これからスペインで生活し、働いていこうとお考えの貴方に心構えとしての緊張と一種の恐怖感を与えるには十分だったのではないでしょうか。十分な生活が出来る、とは何を基準に考えるのでしょうか、何を意味するのでしょうか。その場に置かれた自分の状況で得られる収入、その他の環境を受け入れて生きていくのが生活をしてゆく、という事なのではないでしょうか。そしてその中で必ず喜びは見出せるものです。
最後になりましたが、ライフスタイルや、視野の持ち方が重要だと思います。スペインは決して一般平均的な国民所得は、それら国民が毎年豪華客船での旅行を出来るほどの収入を得られる国ではありませんが、日々の生活において、必ず楽しみ、喜びを得られる豊かな人生を提供できる国の1つであると確信しています。 |